市販の肥料を選ぶポイントって?13種類の肥料と特徴について
野菜づくりの基礎的なスキルを身につけて、おもな作物なら不安なく育てることができるようになったら、次は肥料にこだわってみてはいかがでしょう。
農作物への施肥は、収穫量だけでなく、味の良し悪しも左右する大切なことです。施し方を間違えると、野菜の生育だけでなく、土壌環境を悪い状態に変質してしまうこともあります。
肥料の特徴を押さえておけば、健やかに生育して栽培計画も立てやすくなります。ワンランク上の野菜づくりをめざしましょう。
液体肥料
液状や粉末状で、水で薄めたり、溶かしたりして使います。一般的に無機質からつくられた液状複合肥料ですが、100%有機質に由来するものもあるようです。窒素、リン酸、カリウムがバランスよく含まれているが、果菜類向きにリン酸を多めにしたものや葉菜類向きに窒素を多めにしたもの、二次要素や微量要素、アミノ酸などを加えたものもあります。特徴としては、素早く吸収されて効き目が現れるけれど、長続きしません。水やりを兼ねた追肥が有効的です。
化成肥料
粒状が多く、三要素がバランスよく含まれるが、リン酸を含まない「NK化成」もある。また、窒素成分が急に溶けださない物質を配合した「IB化成」や、マグネシウムやカルシウムが加えられたものもある。三要素の合計が30%以上のものを「高度化成」、それ以下のものを「普通化成(低度化成)」というが、家庭菜園では多少多く施しても障害がでにくい、普通化成を使うのがおすすめ。
有機質肥料(単一原料)
ニワトリのふんやナタネ油の搾りかす、魚の乾燥粉末など動植物に由来する有機物。窒素やリン酸分が多いが、ほかの元素も豊富に含んでいる。施してから微生物によって分解され、その後に植物が吸収できるようになるので、元肥として用いる。発酵、分解中は熱やガスなどが出て、野菜に悪影響を与えるので、種まきや植えつけの少なくとも2週間前には施しておく。
有機質肥料(発酵・ぼかし)
油粕や鶏ふん、米ぬか、骨粉などのさまざまな有機物を混ぜて発酵させ、肥効をぼかした(穏やかにした)もの。三要素をバランスよく含み、微量要素も豊富。腐植が土壌改良にも役だち、地力をつける。未熟なものは、施してから二次発酵して熱やガスを出して野菜に悪影響を与えるので注意する。
有機配合肥料
粒状やタブレット上で、表面をコーティングして肥料分が少しずつ溶け出すように調節し、すぐに、しかも長く効く。微生物によって分解されるタイプもある。元肥に使うと、追肥の手間がかなり省ける。三要素がバランスよく含まれ、二次要素、微量要素が添加されたものも多い。
葉面散布剤
液体肥料の一種。水で希釈して葉面に散布して吸収させる。二次要素や微量要素アミノ酸などが添加されているものが多い。単肥は要素欠乏時の回復に用いられる。肥料成分の吸収・移行は物質によって差があるが、窒素(尿素)や微量要素、アミノ酸などは、根よりも葉面からのほうが吸収されやすいので、補助手段としての効果が高い。
草木灰
草や木を燃やした後の灰。水溶性のカリが多く、速効性がある。酸性土壌の改良効果もあるが、過剰に施すと土壌がアルカリ化するので注意する。
石灰窒素
窒素とカルシウムなどを含み、これらを補給する肥料と土壌消毒をする薬剤としての効果がある。施肥直後は、毒性のある物質が発生するので、施してから7~10日の期間をあけて作付ける。腐熟を促進させる効果もある。
熔リン
正しくは熔成リン肥といい、含むリン酸のほとんどが水に溶けにくいタイプで、速効性はない。カルシウムやマグネシウムなども含む。土壌酸度を調整後に過剰に施すと土壌のアルカリ化を招くので注意。